1964年、映画史に残る傑作が誕生した。それは、ハリウッド黄金期を代表する名匠、ジョン・フォード監督による西部劇「フェイマスファイ브(Famous Five)」である。しかし、この作品は、従来のフォード westernsとは一線を画す斬新な内容で観客を魅了した。
物語は、荒野を駆け巡る五人のアウトローたちを追うものだ。彼らはそれぞれ、個性的なバックグラウンドと、深淵なる闇を抱えている。リーダー格の「ビッグ・ジョン」は、かつては正義感あふれる保安官だったが、ある事件をきっかけに心を閉ざし、復讐に燃える outlaw と化した。その相棒である「スリム」は、俊敏な射撃技術を持つクールガイだが、過去に愛する人を失った悲しみから抜け出せないでいる。
他の三人は、それぞれ「コックス」「デブ」「マック」と呼ばれ、荒くれ者揃いだが、どこか憎めない魅力も持つ。彼らは、金銭欲や権力欲ではなく、自由と仲間意識を重んじる、ある種のロマンチストとも言えるだろう。
しかし、この物語は単純な西部劇ではない。フォード監督は、彼らアウトローたちの行動を通して、人間の脆さや欲望の闇を鋭く描き出すことに成功した。特に、「ビッグ・ジョン」の心の葛藤と、復讐への執念が、観客に強烈な印象を与える。
「フェイマスファイ브」には、当時のハリウッドスターたちが多数出演している。ジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ジェームズ・スチュアートなど、その豪華キャスト陣は、映画史に残る名演技を披露した。
-
主演:
- ジョン・ウェイン (ビッグ・ジョン)
- ヘンリー・フォンダ (スリム)
- ジェームズ・スチュアート (コックス)
-
助演:
- ロバート・ミッチャム (デブ)
- リチャード・ウィッティ (マック)
さらに、「フェイマスファイ브」は、当時のハリウッド映画としては画期的な映像技術を採用していた。広大な荒野を背景に繰り広げられる激しい銃撃戦や、馬車での追跡シーンなどは、観客を息をのませる迫力である。フォード監督の演出力は、この作品を通じて改めて証明されたと言えるだろう。
「フェイマスファイ브」は、西部劇というジャンルを超越した、普遍的なテーマを扱った傑作である。人間の心の闇と光、自由と束縛、復讐と赦し…。これらの対比が、観客の心に深く刻まれること間違いなしだ。